Classical Savion at the Joyce Theater

世の中には天才と呼ばれる人が、そのジェネレーションごとに何人かいる。天才に遭遇することもなく一生を終わる人もいるだろうが、幸いにも私は天才といわれる踊りの師匠、マーサ・グラハム、彼女を通してイサム・ノグチ、ジョセフ・キャンベルらと接することが出来たラッキーな人生と言っていいだろう。そしてこの素晴らしき人々亡き後、今私が目にした天才は Savion GLover.

Savion Glover は80年代、今は亡きGregory Hinesが見いだし、Tap Dance Kid というブロードウェイのショーに出演して一躍大スターになった。そのころ12歳!その後 「Bring in 'Da Noise, Bring in 'Da Funk」を振り付け、出演してトニー賞を獲得。このころの彼は、やりたい放題で、舞台も穴をあけたり、悪評高かった。有名になって鼻高だったのだろう。もちろん今に達するまでに公演から遠ざけられたり、批評家からたたかれたりと色々あったことは言うまでもない。でもそれが今では舞台裏で働く人達も「彼はとてもナイスガイ」とまで言われるように丸くなったと言うこと。
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彼の舞台は昨年もこのJoyce にて観た。その時は彼率いる若いタッパー達との共演がとても良かったが、今回は彼のみ。2時間近く彼のタップ技術を堪能できた。

Classical Savionというタイトル、10人という小さいオーケストラ奏でるビバルディ、バッハ、バルトーク、メンデルスゾーンを背に、タップ。タップとあわせるとどうも・・・と思うような曲もあった。ピアノの上には亡き恩師の写真。そしてタップシューズ。一曲だけこのタップシューズを取り、履き替えて踊ったが、これが私にとってはこの公演のハイライト。ほとんど音も無い微妙音、すれる音でこの曲は終わったが、それが繊細きわまりない。タップをこうまで音無でやれるものかと・・・それでもちゃんとタップなのだ!脱帽。

それにしても彼の音感は天才としか言いようがない。こればかりは教えて、教えられて身に付くものではないからだ。こちらでは彼のことをBest Jazz Playerと呼ばれている。音に合わせるのはもちろんのこと、シンコペーションや、シンコペーションと音の間の空間に音がはいる。1秒間にいくつタップの音が聞こえるのか?不動のように見えて、実は微妙に動くつま先、足首の柔らかさだけなのだろうかと目と耳を疑ってしまうのは私だけではないはず。
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公演最後は彼がいつも一緒にやっていると思われるジャズバンドも加わって、The Stars & Stripes Forever ( For now)。ジャズメンはもちろん即興に離れている。サビオンがリードして一人ずつの即興を引き出すのだが、クラシックのミュージシャン達はちょっとおどおどしながらそれでもかなり頑張っていた。

何が一番凄かったかというと、この2時間の間、彼はシャツを2枚着替えただけ。それは舞台袖に置いてあり、ちょっと入って着替えてでてこられる。そしてすぐ演奏に混じってタップ。休み無しにタップ。もちろん汗だく。
本当に楽しそうにタップを踏む彼にとって、2時間などはちょっとのことなのかもしれない。それでもちゃんとアップダウンもあり、座っているのがいやでない。

今は楽しんでタップを踏んで悠々としているサビオン。本当の天才の域に入ってきているのだろう。

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by miki3lotus | 2005-01-09 01:19 | 舞台・劇場・芸術
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